偶然が織り成すアート ~ 小学3年生のアイディアを叶えた「地面の中の家がある」プロジェクトが公開中

[ CULTURE ]

2008-10-14 19:05:05日 更新

建設した民家を地中に埋める場面。近隣の人も興味津々な様子だ。(c)木村菜穂子

建設した民家を地中に埋める場面。近隣の人も興味津々な様子だ。(c)木村菜穂子

完全に地中に埋まった家。<br /> 足元に居住空間が広がっていることを想像してみよう。<br /> (c)蓮沼昌宏

完全に地中に埋まった家。
足元に居住空間が広がっていることを想像してみよう。
(c)蓮沼昌宏

2008年2月9日から4月13日まで、東京都現代美術館で開催されていた展示会「川俣正[通路]」。その中で、ある企画が進行していた。「色々な人からアイディアを集めて、それを実現しよう―。」この企画を主催したのは、偶然性が生みだす瞬間に着目した作品を作ろうと、若手アーティストが中心となってスタートした「wah lab」という活動体だ。1000を超えるアイディアが集まった(それも具体的な指示などはなく、ただ「アイディア募集」というだけで!)中から選ばれた小学3年生のアイディアは、「地面の中の家がある」というプロジェクトとしてwah labから偶発的に派生。wah labのコアメンバー以外は全て偶然によって集まり、最終的には100名以上の人々が繋がりあって完成させた。企画から創作まで、全てのプロセスにおいて「偶然」の結果によって導き出されたプロジェクトだ。

「そもそも、なぜ偶然性に着目したのか?」wah labの代表:南川憲二に聞くと、興味深い話を聞かせてくれた。まず、アートに対する姿勢の自分なりの解が見いだせずスランプだった時、子供達の発想の豊かさに惹かれるものがあったという。例えば、ポスターを描かせると、「入選したい」「自分が選ばれたのだと肩を叩かれたい」という気持ちが見え隠れする作品が多くなる。そこで、山のように積みあがった新聞紙を使って、自由に遊んでみようという提案をしたところ、子供達からは奔放な反応が返ってきた―。その事象にインスピレーションを見出し、そこから「偶然」と「自由」を生み出す環境を作れないかというアイディアが浮かんだことが、南川にとってのwah labの始点ともなっているのだ。他のメンバーも各々のプロセスは違えども、偶然性を作品に応用できないだろうかという考えは共通している。

現在、既に完成した「地面の中の家がある」は、茨城県の取手にある東京芸術大学 取手キャンパス近くで2009年の2月頃まで一般に公開されている。完全に埋まり切った家の上には緩やかな丘になっており、その地中へと想像力を向けることで、非日常的な現場から日常を思い浮かべるという不思議な状況を生み出す、一風変わった作品だ(ただし、丘の上は地盤などが緩んでいる可能性があるので立ち入りは厳禁)。従来のワークショップのように「明確なビジョン」や「作り手と鑑賞側」や「誰かの作品を手伝う」というという感覚は存在せず、あくまで「一過性の場」を作り出す。この作品を見に行って、自分の意思という不確定な要素で『偶然』を作ってみるのも面白いだろう。創作のプロセスに参加せずとも、体験することそのものもアートを完成させる大切な要素なのだから。

◆展示場所

JR取手駅より大利根交通バス二番

バス停「天神前」下車進行方向徒歩一分右手地図

(文:WEB編集部 / H.T)



wah lab 中心スタッフ
南川 憲二: 美術講師 / 東京芸術大学大学院美術研究科先端芸術表現在籍
増井 宏文:成安造形大学造形学部映像学科研究課程修了
杉山 幸一郎:日本大学理工学部建築学科卒業 / 東京芸術大学大学院美術研究科建築専攻在籍
佐藤壮生:London Metoropolitan University BA/Spatial Art First Honours Degree 取得 / 東京芸術大学大学院美術研究科先端芸術表現在籍

wah lab ウェブサイト
http://air.ap.teacup.com/wah13202

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