2人の女流映画監督の最新作を観る~前編
[ CULTURE ]
2009-06-24 14:46:40日 更新
西川美和・監督「Dear Doctor(ディア ドクター)」の一場面。左から余貴美子、笑福亭鶴瓶、瑛太。6月27日(土)から、シネカノン有楽町1丁目ほか全国ロードショー。(C)2009『Dear Dotor』製作委員会
最近2本の映画をDVDで先行鑑賞した。偶然だが、2本とも女流監督の作品だった。
まず日本映画「Dear Doctor(ディア ドクター)」(配給:エンジンフィルム+アスミック・エース)。前作「ゆれる」('06年)は異例のロングランになり、賞を総ナメにした西川美和・監督の最新作。僻地の医師として奮闘する中年医師(笑福亭鶴瓶)がある日失踪する。警察が出動しその行方を追うが、そこに意外な事実が浮上する。よく出来た台本で、2時間7分を倦きさせない(ちょっとエンディングは不満だが)。また、「僻地」に選ばれた茨城県常陸太田市の田園風景が見事に映像化されているなど見どころは多いが、なんと言っても映画初主演の鶴瓶の「怪演」ぶりが成功の最大要因だろう。僻地の医者なんてこんな感じなんだろうなと納得させるものがある。三顧の礼でこの村に雇われた鶴瓶医師の年収は2,000万円と映画の中で刑事が話すが、弟が僻地の医師だという私の友人に聞いても「そんなものだ」そうだ。たまには都会に出て羽をのばしそうなものだが、鶴瓶医師はそんな素振りも見せない。暇な時は何故か医学の勉強に勤んでいるのである。タネあかしはやめておこう。それと細かい心理描写が実に巧みなのは、女流ならではなのだろうか。それにしても、日本映画は面白くなっていると思う。何故だろう?黒沢、小津、溝口などのコンプレックスから完全に解き放たれてノビノビした感じで、時代を描いている感じを受けるのは私だけだろうか。西川美和と並んで今や日本を代表する実力派女流監督である河瀬直美にも共通するのは頭脳の明晰さと研ぎ澄まされた美意識だが、さらに「日本」と言うものに対する洞察が本当に深いと思う。これに女流特有の繊細さが加わるのだから、映画も女流の時代になるのだろうか。
後半に続く。
(文:WWDジャパン編集部 / 編集委員 三浦彰)
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