2人の女流映画監督の最新作を観る~後編
[ CULTURE ]
2009-07-15 14:46:24日 更新
ヘルマ・サンダース=ブラームス監督の「クララ・シューマン 愛の協奏曲」(配給:アルバトロス・フィルム)。7月25日より、Bunkamuraル・シネマ他全国順次ロードショー!
次は、ヘルマ・サンダース=ブラームス監督の「クララ・シューマン 愛の協奏曲」(配給:アルバトロス・フィルム)という一種の音楽伝記映画。正直言って出来はイマイチ。アル中で精神病のロベルト・シューマンがなんとも鼻持ちならない神経質な男に描かれていて、なんとかならないかと思うし、クララとロベルトの夫婦が2人でオーケストラを指揮するシーンなど吹き出さずにはいられなかった。80年代に彼女が撮った「ドイツ・青ざめた母」(‘80年)や「エミリーの未来」('84年)は佳作だったが、今回はどうも不調である。私がこの映画に興味を持ったのは、シューマン夫婦と親交の深かった若きヨハネス・ブラームスがどう絡んでくるのか、それをブラームス一族の末裔であるブラームス監督がどう描くのかの一点にかかっていた。音楽史の世界では、単にプラトニック・ラブであって、クララとブラームスの間には肉体関係はなかったというのが通説。私自身は、そんなことはないはずと思って来た。さて、ブラームス監督はどう描いたのか。それが実に中途半端。クララ(マルティナ・ゲデック)とブラームス(アリック・ジディ)のベッドシーンは、お互い求めあいながら、愛撫をしながら、クララが乳首を露出させ、ブラームスが「私はあなたとは絶対に交わりません」と宣言するという不完全燃焼。ブラームス監督、ふっきれなきゃダメですよ、と叱咤したくなった。
ま、音楽もそうですが、ヨハネス・ブラームス(1833-1897)という作曲家は煮え切らない男で、仕事の妨げになるからと生涯独身を貫いた。そういう優柔不断さがいいというファンは多い。ブラームスの音楽は一言で言うと中年男の遣る瀬無さ(やるせなさ)。センチメンタリズムと渋さ・苦さがその本質だと私は思う。聴けば聴くほどその憂愁が胸に迫ってくるのである。若い男子にはこういう感じはわからないと思う。自分の先祖であるブラームス監督には、是非「ヨハネス・ブラームス」という渋~い映画を撮ってもらいたいと思う。
(文:WWDジャパン編集部 / 編集委員 三浦 彰)
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