「WWDジャパン」編集長 山室一幸の“モードな身辺雑記” ムロブロ

[ FASHION ]

2009-10-20 18:37:09日 更新

中央につんく♂。奥には美川憲一や鳩山由紀夫の姿も。

中央につんく♂。奥には美川憲一や鳩山由紀夫の姿も。


Vol.5 ファッションは「勇気の翼」となるか!?


申し訳ありません!

前回のブログ更新から2カ月近く経ってしまいました。

ファッション週刊紙の編集長ブログが隔月刊ってどうよ?

と猛省しております。

この期間、様々なイベントや北京への出張など、

結構盛りだくさんだったのですが、

今回は久しぶりに心から感動したファッションイベント

「インクルージョン2009」について書きます。

(10月12日号の「多事装論」でも触れましたが、

あの文字数では書ききれなかった部分もあるのでご勘弁を)


 

改めて説明すると、

10月3日に開催されたこのイベントは、

障がい者理解への教育と就労支援活動を行うNPO法人

「勇気の翼 インクルージョン2015」(理事長・細川佳代子)の主催で、

知的発達障がい者やチェアウォーカー(車椅子使用者)

47名がモデルとなって、

芸能人やアスリートと一緒にステージを歩くファッションショー。


 

つんく♂、美川憲一、研ナオコ、

辻希美、松野明美、藤本美貴、黒谷友香、

田丸麻紀、蟹瀬誠一、神取忍、森理世ら

40人を超える芸能人やアスリートが、

笑顔でポーズを決める障がいを抱えたモデルたちをエスコート。

サプライズゲストとして、

コペンハーゲンから帰国直後の鳩山由紀夫・幸夫妻が

ステージに登場して満場の拍手を浴びた。

この様子はワイドショーや週刊誌でも取り上げられたが、一部メディアでは

「夫婦揃ってファッションショーに浮かれている場合か?」と叩かれた。

取材した段階でイベントの趣旨は理解しているだろうに、

首相夫妻の善意を捻じ曲げてまで報道する姿勢には疑問を感じる。


今回のショーでチェアウォーカーの為の作品をデザインしたのが、

元F3レーサーの長屋宏和だ。

14歳からカートレースを始め、

19歳で留学したフランスのレーシングスクールから帰国後

すぐにF3にステップアップし、

レーサーとしての将来を嘱望されていた彼は、

2002年10月に起きた鈴鹿サーキットでのクラッシュ事故で、

死の淵から生還しながらも、

頸椎損傷四肢麻痺の障害を負ってしまう。

そんな彼を支え続けたのが、

日本屈指のモードフィッターとして有名ブランドからも信頼される母親、

長屋恵美子の存在だった。

健常者と同じファッションを楽しみたいと願う息子の熱意と、

愛情深い母親が誇る匠の技との二人三脚によって、

この「ピロレーシング」というブランドは誕生した。

今回のショーのフィナーレでは、

車椅子に乗ってつんく♂にエスコートされた美しい花嫁を、

「ピロレーシング」のウェディングドレスが笑顔と共に輝かせていた。


 

イベントの後援に厚生労働省が名を連ねているものの、助成金の支援はなく、

5,000円の入場料収入だけでは到底経費を賄い切れないはず。

エイズや乳がん撲滅には積極的なファッション企業も、

「障がい者支援」というハードルは思いのほか高いようだ。

このファッションショーが障がい者に対する

本質的な理解や支援に繋がるかについては意見の分かれるところだろうが、

モデルとして登場した彼らの笑顔に勇気付けられ、

1時間半近く手拍子を送り続けながら涙が溢れたのも事実だ。

次回またショーが継続されるならば、

是非ともボランティア参加したいと考えている。

(文:WWDジャパン編集部 / 編集長 山室 一幸)




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