ファッションデザイナー・白浜利司子が今思うこと~後編

[ SPECIAL ]

2009-12-10 16:39:55日 更新


前編より続く。



「そういった白浜デザイナーの思想に影響を与えたものは具体的に何だったのか」

―「一番は山本耀司氏の影響が大きいでしょうか。

80年代の「ヨウジ ヤマモト」が作り出した

ムーブメントってやっぱりすごくて。

こんなにすごい人と同じ時代に生まれて、

なんてラッキーと思っていましたね(笑)。

その時、彼が考えていることを雑誌で

リアルタイムで受け取って、

何度も読み返して。

作り手の“哲学をまとわせる”という姿勢を、彼から得ました。

なんでも手で作る、

作り手と同じ作業をして魂を合わせることとか。

チャレンジを重ねながら現場で共につくり上げていく。

お互いの熱意と信頼関係。そういったものが大切なのですね。

山本耀司さんの表現とは違えど、

“普通には作れない、特別なものをつくる”という、

表現の根底にある精神性をお手本にして創作活動してきました」。



「今まで、2007年春夏の“エコ”や

2009-10年秋冬の“食”などといった、

何かと社会性のあるテーマを掲げていたが、今気になることは?」

―「つねに“地球”に関心を持っていますね。

その中でも、いまは“森”がすごく気になります。

数年前に森に入る機会があり、

一見とてもきれいな森なのに

この森は実は病んでいるとガイドの方から説明されてびっくり。

日本の山は植林ブームのときに、

大量に植えたはいいものの、

その後カナダなどからの安い木材需要が高まり、

日本の木は売れなくなって、

人は森を放置してしまった。

間引きをしなかったために、

太陽の光がゆきわたらず、

栄養が各々の木に分散してしまい、

か細い、栄養の無い木ばかりが育ってしまったそうです。

山自体が脆弱なので、水を蓄えられず、

山崩れなどが簡単に起きてしまう。

今の日本の山は大変病んでいるんですね。

それ以来、“森”に関心を持つようになりました。

そうこうしているうちに

坂本龍一氏がリーダーとなって始まった

“more tree”の運動が始まって。

ああ、やっぱり次は森だ!

と強く意識するようになりましたね。

ですから次のシーズンテーマは“森”です!

間伐材を使うかもしれません・・楽しみにしていて下さいね」。



「さて、先シーズンから東信・フラワーアーティストとの

コラボレーションが続いているが、東氏との共通点は?」

―「共通点?ないない!(笑)

というのは冗談で、

二兎を追わない・仕事が早い・迷わない、

そして自分を信じる力が強いというところでしょうか。

東さんとのお仕事は「食」がテーマの2009-10年秋冬シーズンからで、

「食」をテーマにして、

食糧問題などをクリエイションで

どのように表現しようかと考えていたところに

野菜をアート作品のように飾った「カゴメ」のCMを思い出し、

この人だ!と直感が走り、私から声をかけました。

生の野菜があると表現にぐっと力が増して、

東さんにお任せしてよかったと思っています」。



「2010年春夏作品のルックを拝見しました。

すごくハッピーなムードですが、ずばりテーマは?」

―「『ハイパーにアップ!』です。

沈みがちなご時世ですから、

せめて洋服だけでもアゲアゲでいこうよ!というテーマです

そんな辛気臭い顔しないで、

明るい気持ちで!っていう思いだけですね」。



「最後に一言、お願いします」

―「『それは、愛』です。

人への愛、自然への愛、です。

それと『トラスト・自分』ということもですね。

いつだって自分を信じてまい進していきます」。





白浜デザイナーの興味に赴くままに、

社会に向けて問題提起を投げかける「リツコ シラハマ」。

これからがますます楽しみだ。

(文:WWDジャパン編集部 / 戸田亜紀子)




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