WWDジャパン編集長のweb版「多事装論」

[ FASHION ]

2010-07-15 10:33:39日 更新

THE REALITY SHOW創刊号「冨永 愛×ヨウジヤマモト」のファッションヴィジュアル

THE REALITY SHOW創刊号「冨永 愛×ヨウジヤマモト」のファッションヴィジュアル


Vol.4 ファッション・エディトリアルの「気骨」とは



ファッションエディターのティファニー・ゴドイが、チーフエディター兼クリエイティブディレクターを務めるヴィジュアルメディア「THE REALITY SHOW」が7月1日に創刊された。あえて“ヴィジュアルメディア”と称したのは、12ページの撮り下ろしファッションポートレイトとインタビューをまとめた雑誌が5セットを、3つ折りのポスターで包んでシュリンクした版型で、1,000部限定販売。ちょうど「ヴィジョネア―」のスティーヴン・ガンが創刊したころの「Vマガジン」を彷彿させるイメージだ。



1997年に来日したティファニー・ゴドイの、ファッションエディターとしての慧眼には、かねてより一目置いていた。「コンポジット」で菅付雅信さんに師事し、「スタジオボイス」でエディターとして活躍していた頃から、「ストリートのリアリティとモードのファンタジー」をリンクさせた独自の視点には一切のブレがない。東京のストリートファッションの歴史を網羅した「Style Deficit Disorder」は、彼女の歴史感と審美眼が詰まった貴重な研究本となっている。NHKワールドやWOWOWでファッション番組のホストを務めた経験も、彼女自身を「モードを語れるファッションアイコン」へと昇華させている。



「THE REALITY SHOW」のアートディレクター兼クリエイティブディレクターを手掛けるのは、ファッションやビューティ、音楽の各分野で活躍する米津智之。「ヴィジョネア―」に見立てて、米津氏をスティーヴン・ガンとするならば、ティファニーの存在はセシリア・ディーンといったところか。(ジェームス・カリアルドスの役割は創刊号のヘアメイクを担当した鷲津さんかオリヴィエさん?)「ファンタジックなランウェイファッションに、今の東京のリアルライフと、リアルスタイルをリンクさせる」という同誌のコンセプトは、被写体となる個性豊かなパーソナリティの私物とラグジュアリー・ブランドの最新コレクションをミックス・コーディネートする“離れ業”で実現させている。



「冨永愛×ヨウジヤマモト」という王道的なコラボを筆頭に、渋谷の「SISTER」でアシスタント・マネジャー兼バイヤーを務めるFUYURIと「ヴィクトール&ロルフ」の組み合わせや、「マドモワゼルYULIA×バルマン」も最高にクール。メンズも実にツボを得た人選とスタイリングで、ファッション・エディトリアルの醍醐味を感じさせる。



広告ページを一切取らず、税抜き価格2,000円で1,000部限定というビジネスモデルにおいては、制作に参加したクリエイターやアーティストからの「協力」なくしては成立しないと推察するが、付録競争に明け暮れながら電子出版の台頭に脅える昨今のファッション誌のなかで、こうした気骨あるメディアの出現が、美意識を刺激するファッション・ヴィジュアル復活への一石を投じてくれることに心から期待したい。

(文:WWDジャパン編集部 / 編集長)




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